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2016年9月16日金曜日

Thoughts on "Telegraph News - Old Bailey judge retiring after 20 years condemns burden foreign criminals are placing on state"




“I sometimes ask how long have you been in this country and sometimes they say 20 years and I am amazed they have not learnt better English,” 

I'd say, too bad but that's the true reality. 

I've interpreted for a Japanese national who had lived in the UK for over 30 years and been married to a British with children, and still didn't understand what 'arrested' meant!!

I've always felt the necessity to ensure the person isn't compromised because of their limited English in court, and that's why I have been taking on court assignments despite the fact it pays me peanuts, absolute peanuts...and some people misunderstand that I could only get such a *menial* interpreting jobs that I was having to accept court interpreting !!! 

Wrong: Most of my works come from elsewhere and pays far far better. 

And wrong again: Court interpreting is never to be underestimated; it can be tricky and requires different skills & knowledge and more commitment than other type of interpreting assignments in some way. 

Now, WHY DO I STILL DO IT you might ask? 

That's because SOMEONE HAS TO DO IT and the 'someone' cannot be 'anyone.'

It is not something anyone cannot do it. 

'Any interpreter' will - not - do either. 

It is about people's lives after all. 
The interpreters need to have understood how serious their responsibility is. 

As to wages, whoever is raking in (of course it bothers me as it undermines our work and integrity) but keeping it aside, for now - I was only paid a few tens of pounds per assignment and there were times I ended up in negative figures after subtracting costs (transport) from wages. However, I still did it. 

It is fraction of wages if you compare to other jobs. Nevertheless, I have taken these assignments on, why, in order to make sure the language was available for the individuals, be it for a witness or a defendant, and also in the hope to make or see some changes in the system. 

This kind of ignorant remark from highly experienced legal professionals show how little it is understood. 

I find such remarks - after working with many interpreters at court - discouraging that it makes us feel stupid, and it feels as if our commitment and dedication spoilt. 

http://www.telegraph.co.uk/news/2016/09/07/old-bailey-judge-retiring-after-20-years-condemns-burden-foreign/

photos: https://languageassociatesblog.net/2015/01/16/new-law-for-oklahoma-courtroom-interpreters/

2016年6月26日日曜日

通訳者が「資料ください」としつこくお願いする理由 その1

「だから資料が本当はあるのに出さないなんてもってのほか」

通訳が「資料ください」と「しつこく」お願いする理由について。

つい最近、同僚と会って話をしていて出てきたのですが、二人揃って啞然、愕然、呆然としたのが、

「資料なしで準備ができないならプロ失格」

と思っている人がいらっしゃること。



先日「日本の食文化紹介 和菓子」で書かせていただいた「最中」を例にすると、

私もたまにいただきますが、だからといって何で出来ていて、どういう工程で作られているか、

なんて、いつも意識しながら食べているわけではありませんよね。


日本語で聞いたらそのままわかる(ような気がする)けれど、

それを自分の言葉で(日本語同士で OK)説明できるかというと、これはまた別の問題です。


その場で当てられたら、とっさに説明するなんてことは、普通はできません。

でも通訳するときは、それではいけないわけです。



だから、準備をしておかないと。準備、つまり「資料ください」です。

このように、通訳者が「事前に」「資料をください」と「しつこく」お願いするのにはちゃんと理由があるのです。

たくさんある中でほんの一握り紹介するつもりで説明したいと思います。

準備=資料が大切な理由のひとつに通訳作業の特徴があります。

ご存知のように、通訳は聴いた言葉
つまり、耳に聞こえてきた言葉を処理するので、事前に馴染んでいない言葉が発言者の口から突然飛び出すと、

他のお仕事をされている方なら思いもよらないことかもしれませんが、

「キザト?? 字は何 ?」 となって立ち往生してしまう危険性がある。

そこへ持ってきて、発言者一人一人個性がある。クセがあるので余計に負荷がかかります。

声の小さい人、滑舌が曖昧な人、地方訛りや外国語訛りがあったり。早口や、非常にハスキーな声の人もいます。

発言者が発言の途中で気が付いてマイクをつければ当然ある語の途中からしか聞こえません。

発言中、紙を触ったりペンを無意識にカチカチしたり、指をテーブルの上でカタカタ鳴らす人もいます。マイクから近い(!)

キーボードを叩く音などもそうですが、こういう音、マイクはすごく拾うんです。人間の耳とは感知の仕方が違うので。

大事な話よりも大きい音で拾ってしまうことが多く、耳障りでしょうがない。プルタブを引く音なんてもってのほか。

それに、同時通訳でブースにいたら話者から物理的に遠く、対面で通訳をしている時とは違い、訊き返すことができないので、余計に困ってしまいます。


話し手にとっては当たり前のことは、
決して他の人にとっても当たり前のことではありません。


学会や特定のスポーツのファンが集まっている場(テレビ番組など)であれば、

話し手はもちろん、聞き手にとっても当たり前かもしれませんが、

それが通訳者にとっても「すでに」当たり前かどうかは別の話。

どこぞの会社の社内用語だったらなおのことです。



でもこれが実によく登場するんですよね。

完全に内輪ネタですから、ちゃんと事前に解説しておいてもらえなければ、外から呼んだ通訳には対応できなくても当然のこと。



下調べをして、学習(予習?)しておき、「生砂糖」は 

Kizato, which means raw sugar in Japanese  などと解説しながら通訳を進めるわけです。

こういうことがとても多いのです。





(Photo:http://www.jcfl.ac.jp/course/curriculum/a-k.html)

2016年6月19日日曜日

日本の食文化紹介 和菓子 その3 対訳例について


前回の記事で掲載させていただいた対訳リスト(下方にもあります)ですが、

すでにお気づきの方もいらっしゃることとおもいますが、

そうです。 「日本語(原語)が短いのに、対訳の英語がうんと長い」 のです。

それは主に、対訳の英語が「お茶請け」など語の説明になっているからですが、それは、たとえ日本ではおなじみのコンセプトでも、外国ではまったく馴染みがないからです。

同様に、イギリスではおなじみでも、日本ではまったく馴染みのないことはたくさんあります。
(はっきり言って、そんなもの「だらけ」だと思います。)

だから、訳出が説明を伴っていないと、聞いている人は何のことだか理解できないのですね。

「足さない、引かない」というフレーズをご存知でしょうか。

原文や原発言に対して、訳すときに足すことも(Addition)、引くことも(Omission)、曲げること(Distortion)もしないこと。翻訳でも通訳でも、重要な指針です。

米原万理氏の著書『不実な美女か、貞淑な醜女か』というタイトルにもあるように、アウトプットがoriginalに忠実かどうか云々は永遠のテーマですね。

なぜこの話を出したかというと、これは足したことにはならないと思うからです。

表面的に言葉を置き換えても「通じない」。

そして、通じなければ意味がないわけですから。

(詳しくはセレスコビッチ(Seleskovitch)の「意味の理論(the Theory of Sense a.k.a. the Interpretive Theory of Translation)」を参照)


お茶請けOchauke - snack to go with tea like teacakes
上生菓子 high-grade Japanese fresh/wet confections
主菓子 Omogashi - main sweets (wet sweets)
打ち物 Uchimono - malded dry confectionery
自然薯wild yam
和三盆 Wasanbon sugar - Japanese traditional refined sugar that is very sought   after
生砂糖(きざと)raw sugar
おうす(a) weak infusion of powdered tea
落雁 dry confection of startch, soy etc. pressed into a pattern
求肥 sweetened mochi
栗きんとん mashed sweet potatoes with sweetened chestnuts
おしるこ sweet soup like food made with Azuki beans
最中の皮 delicate and crispy sweet rice crackers
丹念に carefully / with great care
刻む carve / chisel / mince / finely chop
練る knead / temper
漉す purée /mash and filter out impurities
煮詰める simmer away / reduce / concentrate
見て楽しむ enjoy viewing / watching
詫び寂び aesthetic sense in Japanese art emphasising quiet simplicity, called WabiSabi
研鑽を積む devote oneself to their [study] for many years

などなど…。


それから、上の表ですが、スラッシュで区切ったものは「このうちどれでもいい」ということではなく「context  (文脈)に合わせて随時選択」するというつもりで訳語を出してあります。

各単語(英語)の意味やニュアンスが異なるので。

「突貫工事の対訳」では当然納得がいかず、後日「練り直した」ものもあります。
※上に載せたものは練り直したものではありません。

例えば「求肥(ぎゅうひ)」がそれですが、「sweetened mochi かぁ、甘くした餅」じゃあピンとこないなぁ、と。

うんうん言っていると、ひらめきました!ちょうどイギリスには似ているものがあることに気づいたのです。Turkish Delight というお菓子です(トップの写真)


求肥(Gyuhi) の Wikipedia (https://en.wikipedia.org/wiki/Gy%C5%ABhi) の説明(英文)も参考にして…

"Gyuhi - a softer variety of mochi, which is made from either glutinous rice or its flour, similar to Turkish Delight"   

…と、ここまで言う時間的余裕があればいいですが。

逐次ならともかく、同時通訳なら無理だろうなぁ。

もし、自分がここで同時通訳だったら、瞬時にどう対応するか。

悩みは尽きません。

というわけで、今回はこの辺で。

お読みいただきありがとうございました。

2016年6月13日月曜日

日本の食文化紹介 和菓子 その2 お約束の対訳例をUPしました。


前回の「日本の食文化紹介 和菓子」で、友人宅へ行く途中、電車で移動中、
日本文化を紹介する依頼が急に入ったというお話をしました。

友人宅へ遊びに行って翌朝ゆっくり好きな時間に帰ってくるはずが、翌朝仕事になってしまい、往復の電車の中で「iPhone とにらめっこしながら一夜漬けならぬ付け焼き刃もいいとこ、突貫工事で捻り出した」のですが、そのときの「突貫工事の対訳例」がこちら↓

お茶請け Ochauke - snack to go with tea like teacakes
上生菓子  high-grade Japanese fresh/wet confections
主菓子  Omogashi - main sweets (wet sweets)
打ち物  Uchimono - malded dry confectionery
自然薯 wild yam
和三盆  Wasanbon sugar - Japanese traditional refined sugar that is very sought after
生砂糖(きざと) raw sugar
おうす (a) weak infusion of powdered tea
落雁  dry confection of startch, soy etc. pressed into a pattern
求肥  sweetened mochi
栗きんとん  mashed sweet potatoes with sweetened chestnuts
おしるこ  sweet soup like food made with Azuki beans
最中の皮  delicate and crispy sweet rice crackers
丹念に  carefully / with great care
刻む  carve / chisel / mince / finely chop
練る  knead / temper
漉す  purée /mash and filter out impurities
煮詰める  simmer away / reduce / concentrate
見て楽しむ  enjoy viewing / watching
詫び寂び  aesthetic sense in Japanese art emphasising quiet simplicity, called WabiSabi
研鑽を積む  devote oneself to their [study] for many years

などなど…。


すでにお気づきの方もいらっしゃることでしょう。

「日本語(原語)が短いのに、対訳の英語がうんと長い。」



そうなのです。

でも、こういうことはよくあります。

逆もまたしかりです。


その理由はまた次回に。


(Photo: http://morichan37.com/?page_id=2523)

2016年6月5日日曜日

日本の食文化紹介 和菓子



きれいですよね。和菓子って、素敵だなとおもいます。

昨年の秋、ラグビーワールドカップイングランド大会と時を同じくして日本を紹介するシリーズイベントがありました。

その中の食文化を紹介する小イベントで和菓子の紹介を通訳する機会を得ました。

通訳仲間から連絡が入ったのです。
それは泊まりの外出先へ移動中の電車の中でした。

それで、その仲間に「いつ?」と聞けば「明日の朝」とのこと…。会場が自宅から目と鼻の先ほどの近場だったこともあって声を掛けてくれたのでしょうか。

あいにく、その日に限って泊まりで遠出中だったのです。

しかし「直前だからなんとかお願い!」と頼まれ、翌朝には帰ってくる予定であったので、断るわけにはいきません。

翌朝ゆっくり帰るつもりを急いで切り上げることにして、エイヤッと引き受けました。

が、コンピュータもなければ、ケータイの通信すらおぼつかず、何より出先ですからWiFiが使えません。

しかもお出かけ中だったんだから資料らしきものなんかひとつもない…。イギリス国内とは言えど、海辺に近い(つまり文明品がない)のどかな場所だったので。

話題は和菓子。職人さんが実演をしながら説明するのを通訳するのです。

和菓子といえば、なじみはありましたが、もっぱら食べることが中心。作ったり説明なんて想定したことがない。

その歴史や精神、詳しい作り方や材料については詳しいとは嘘にも言えず、この時ばかりは茶道の心得でもあれば、きっと助けになっただろうにと悔やまれました。

でもなんとか乗り切らなければなりません。観客を前に実演で和菓子を通訳するとなると、英語でなんと表現したら良いものやら…。

私はじつはお菓子を作るのが好きな方なのですが、それもケーキやらパイやらと洋菓子で、和菓子の道具や材料、作る時の手順や動作について詳しくないんです。

でも、その「心」を伝えねば。

ネットは繋がらないし、翌朝本番だし、でもなんとか出来る限りの準備をということで、頼れるものはiPhoneだけ。しかも時間は電車が到着するまで。途中何度もネットが途切れつつ…。

調べ物をして、準備をする機器としては小さい。このiPhoneの画面とにらめっこしている私の様子は周りの人にはきっと鬼気迫るものがあったでしょう…鬼のような形相だったに違いありません(苦笑)

お茶請け
上生菓子
主菓子
打ち物
自然薯
和三盆
生砂糖(きざと)
おうす
落雁
求肥
栗きんとん
おしるこ
最中の皮
丹念に
刻む
練る
漉す
煮詰める
見て楽しむ
詫び寂び
研鑽を積む

などなど…

どうでしょう、これらの言葉サラッと英語になりますか?

いやぁ私はサラッと納得のいく表現は出てきませんでしたね。

それでもわかりやすく、素早く伝わる表現を考えて、頭に入れなければならない。

私がiPhoneにらめっこしながら一夜漬けならぬ付け焼き刃もいいとこ、突貫工事で捻り出した対訳例。

次回はそれをご紹介しますね。


通訳という不思議な職業…?番外編

http://www.tvdsb.ca/programs.cfm?subpage=226723

いつも楽しく読ませていただいている『日本とアメリカで働く翻訳者のブログ』。

そのなかの「謎の職業?翻訳者」と「翻訳者と通訳者の大きな違い」という2つの最近の記事。
これを受けて通訳の視点から書いてみました(はなさんにはご了承をいただいています)。

通訳という不思議な職業 入門編」「上級編」と書いてきて、今回は第3弾「番外編です。」

「通訳は時間が勝負です、翻訳は正確さが勝負です。」 ― そう、締め切りまでは時間がある翻訳と瞬間的にその場でアウトプットしなければならない通訳。

テレビで収録されて放送される番組と生放送の番組と、二種類あって、その二つで制作面が全然違うのと似ています。

通訳のパフォーマンスについて、正確さが勝負でないかと言ったら、もちろんそんなことはありません。通訳のクォリティを評価する際に基準となる軸。

ちょうどダイヤモンドの4Cのようなものがあるのですが、正確性や完全性などが含まれています。

ですから、正確さに関しては、非常に重要な要素であることに変わりはありません。

永久保存版として残ることが前提の翻訳と、瞬間の芸術(?)である通訳とでは、その影響の仕方は同じではないかもしれませんが。

通訳も翻訳もやるけど得意が分かれるというのは、その通りだと思います。はなさんがおっしゃっている「通訳は大まかに大胆に、翻訳は緻密に細かく」というのも、一言で言えばその通りだ、と思います。

もうひとつは、人と接するのが好きな人とあまり好きではない人で「好み」というか、得意不得意が分かれることがあります。

短距離一か所集中型で業務が終わったらさっさと家に帰る、あるいは呑みに行く!ようなオンオフが明確にあるのも翻訳の仕事とは違う点。

翻訳は納品してクライアントから終了を言い渡されるまでは、なかなかそうは行きませんよね。

得意不得意で言えば、その働き方の好みや適性で分かれると言えるかもしれません。

翻訳では「永久保存版」を想定して仕事をするという話が出たので、触れておこうと思いますが、ここ数年(もっと前からかもしれません)これについては翻訳の話だけではなくなってきています。

昔から、文芸翻訳などでは、ギャラの支払い形態(契約)を「買取」にするか「印税」にするか、ふたつから選ぶということがあったわけですが、通訳には「印税」というのは縁遠い話のようでした。

それが、事情が大きく変わってきたのはここ数年のこと。

インターネット上に様々なメディアが登場したこと、またICレコーダーはもちろんiPhoneのようなデバイスなど、録音機能を備えた機器が持ち運びやすい形で手に入るようになったことから、通訳音声(映像)が録音される場面が増えてきたのです。

これについては別の記事で特集しようと思っているので、ここでは詳しくは書きませんが、通訳に無縁のことでなくなってきているのは確かです。

なので、「泣いても笑っても言いっぱなし。その場で終わり。」は、そうでもなくなって来ているのが現状。ある程度は今でも「そうだ」と言えますけどね。

国際会議などで議事録代わりに録音されることはもちろん、聞き取り調査の案件、ラジオやテレビ番組のインタビューの録音・録画、さらにそういった番組の半永久的な二次利用(YouTubeなどにアップする)など。

それ以外にも録音されるケースはとても多く、「ほぼ一般的」になってきていると言えるでしょう。これはこれで新たな問題を生み出しているのですが。

それを考えると「その場で終わり」とも言っていられなくなって来ました。
瞬間の芸術(芸当?)から「残る」ものへとシフトしていると言えるかもしれません。

もうひとつの大きな誤解として挙げておきたいのが、「通訳なら誰でも同じだろう?言葉を置き換えるだけなんだから」 というもの。

この誤解自体は新しくも何ともありませんが、新しいのは展開とその規模です。

「法廷通訳でも IR でもやることは同じじゃないか」― そういう誤解が蔓延しているからトラブルが絶えないのです。イギリスに至ってはこんなありがちな単純な誤解が国規模のトラブル(Guardian記事)にまで発展しています。

国が下請けに出している企業(要するに通訳・翻訳エージェンシー)が罰金を科せられるケースも。

場が裁判なのか、ビジネスなのか、などによっても通訳の役割や、その定義が同じではありませんし、「やっていいこと」と「いけないこと」。もっと言えば「この場合はぜひやるべき」ことが別の場では「決してやってはいけないこと」になっていることも。

わかりやすく言うと「T.P.O.」のようなものがあって、それによって倫理・行動規範も、異なるのに「通訳ならみんな同じ」と思ってしまう。

そこに大きな落とし穴があるのはNataly Kelly著「Found in Translation」で枚挙にいとまがない。

医療分野のみならず、イギリスの法廷通訳の問題など、公益部門には重要なポイントとして、同書からの以下の引用をもってこの記事を終わりたいとおもいます。

お読みいいただきありがとうございました。

[T]he costs to the entire healthcare system are higher when interpreters are not used. When language barriers are present, medical errors are more common...when language barriers exist and no interpreters are available, healthcare providers are more likely to order expensive diagnostic tests to determine what is wrong with patients and monitor their care for longer periods than necessary, resulting in excess spending.

(筆者訳:通訳を使った時よりも、使わなかったときのほうが医療システム全体のコストが高くつく。それは、言葉の壁があるときには、医療ミスがより起きやすいから。(中略)[さらに]言葉の壁があり、通訳者が手配できないときには、医療従事者は患者の問題を特定するために高額な診断テストを施したり、必要以上に長く経過を看たりする傾向が強いため、結果としてコスト超過を招く。)



2016年5月29日日曜日

通訳という不思議な職業…?上級編

いつも楽しく読ませていただいている『日本とアメリカで働く翻訳者のブログ』。

そのなかの「謎の職業?翻訳者」と「翻訳者と通訳者の大きな違い」という2つの最近の記事を受けて、通訳の視点から書いてみました。(はなさんからは了承をいただいています)。

「通訳という不思議な職業?上級編」ということで「入門編」の続きです。

「翻訳者さん?じゃあ、アメリカに行ったときに通訳して!」と言われるという話ですが、通訳者がその逆(「〇〇に行ったときについでに翻訳して!」)と言われることはさすがにないですが、それでも「ついでに翻訳してもらえます?」と訊かれることは、結構あります。

これ、困るんですよね。例えば、以前、法律事務所で刑事裁判の抗告の案件でバリスタ―(barrister = 法廷弁護士)と被告との打ち合わせを通訳したとき「これ翻訳しといてくれる?」とバリスターに言われたことがありました。裁判なので書類をたくさん前にしての打ち合わせです。もちろん「通訳倫理上できません」とお断りしましたが、バリスター当人はキョトンとしていました。

LEP(限定的英語熟達者、この場合日本語話者のユーザー)がバリスターが引用しながら説明する内容についていけるように、通訳者はサイトラという書かれた文章を口頭でアウトプットすることはしますが、書面から書面である翻訳作業はしてはいけないことになっています。

「アナウンサーと作家ほども仕事の内容が違う」というのはほんと、すばらしいアナロジー。私も、この通りだと思いますね。通訳では走りながら考え、考えながら走るけれど、翻訳はそうではない。その分、翻訳という作業は比重の高い表現を練り上げる仕事、という印象があります。

それから「英語を日本語に置き換えるだけ」じゃない話は、もちろん通訳も同じです。

前のブログ(通訳という不思議な職業~入門編)に挙げた「記憶にとどめる」ことが追加負担であることはもちろん、意味を伝えることが、表面的に語を置き換えることよりも大切なのは言うまでもないと思います。映画の英語版と日本語版で「Broccoli」がピーマンになったと紹介されているのと同じように、そうでないとその場で通じませんから。

通訳も翻訳もやるけど得意が分かれるというのは、その通りだと思います。はなさんがおっしゃっている「通訳は大まかに大胆に、翻訳は緻密に細かく」というのもあると思います。

人と接するのが好きな人とあまり好きではない人で「好み」というか、得意不得意が分かれる場合もあれば、短距離ランナー型、一か所集中型で業務が終わったらさっさと家に帰る、あるいは呑みに行く!のようなオンオフが明確にあります。

翻訳は納品してクライアントから終了を言い渡されるまでは、なかなかそうは行きませんよね。その働き方の好みや適性で分かれると言えるかもしれません。

通訳と翻訳の違いで意外なものとしては、職業保険の保険料が違うこと。基本的に家で作業する翻訳者と違い、通訳者はいつも外出します。今日はここ、明日はあそこ、と仕事場所もお客さんもいつも違う。国をまたいで移動することも多いので翻訳者よりも保険料が高い。←私の場合

現在の保険に入るとき、Translatorとして見積もりを出されたので「念のためInterpreterで調べなおして」と言ったところ、保険会社の担当者も「金額が違いました、私もこれまで知りませんでした。」と驚いていました。

たしか、日本では課税方法も違ったと思います。源泉徴収される場合とされない場合がありましたよね。どちらがどちらか忘れましたが…。

Photo: http://www.123rf.com/photo_27157317_translation-and-interpreting-love.html


(つづく)

2016年5月22日日曜日

通訳という不思議な職業…?入門編


いつも楽しく読ませていただいている『日本とアメリカで働く翻訳者のブログ』。

そのなかの「謎の職業?翻訳者」と「翻訳者と通訳者の大きな違い」という2つの最近の記事。

これを受けて通訳の視点から書いてみました。(はなさんにはご了承をいただいています)

このブログオーナーのランサムはなさんとは面識があり、尊敬する翻訳者さんです。

はなさん、これから通訳の勉強をされるんですね!がんばってください。応援しています!

それでは、さっそく書いていきたいと思います。

まず、はなさんが異業種の方々と交流していてほとんどの方に言われるという「翻訳の人って、今まで会ったことがない」というもの。通訳はどうでしょうか。

翻訳と違い、あまり家でやる仕事ではないので、私個人の経験ではさすがに言われたことがないですが、翻訳と通訳とを同義に思っている人が多いのは確かです。

通訳の場合、仕事を通して人と会うことが多いので、上記のやり取り自体があり得ないということもあるかもしれません。

それでもオンラインなどでフォームに記入するときなど、職業や業種を選ぶドロップダウンメニューの中にいまだに含まれていないところを見ると、両方とも、やはり知られていない、誤解されている職業なのかもしれません。歴史の古い仕事なんですけどね。

通訳で圧倒的に多い勘違いは「英語(他言語)が話せればできるんでしょ?」と思われていることです。日本(人)にはまだまだ日本語しか話さない人が多いから通訳が必要だけど、みんながもっと英語が話せるようになれば、通訳なんて「この世からなくなる仕事だ」と思っている人の多いこと!

さすがにこれを面と向かって言われることはないですけれど、相手がそういうふうに考えている時、いくらなんでもわかりますよ。

通訳という仕事に対する誤解の中で、声高に言いたいと常日頃思っているのが、通訳するスキル=外国語が話せる「ではない」こと。

通訳するときに必要なスキルの中でつくづく忘れられているな、と思うのは「記憶保持」。

通訳とは、平たく言うと、話されたことを順番通りに、理解し、覚えておき、もう一つの言語で再現するという作業ですから「正確に」「覚えておく」というスキルが「ものすごく」大切なのです。

どうでしょうか、外国語を勉強するとき、書く・読む・聞く・話すの4スキルは練習するけれど人のスピーチをそっくりそのまま「記憶する」練習なんてしますか?しませんよね? 

学生時代にE.S.S.に入っていたのですが、そのスピーチ委員会に入っていた人たちはキング牧師の「I have a dream」のスピーチを毎日毎日練習して、マントラのように唱えて丸暗記するまでやっていました。そのような場合はともかく、普通に語学を勉強するときに、人の話を要素を漏らさず「再現するつもり」で聞いている人はいないと思います。

記憶保持(リテンションと言います)のスキルだけについていえば、外国語スキルとは関係がなく、単一言語でも練習ができる。通訳するにはなくてはならないスキルだけれど、外国語能力とは別の能力です。

翻訳と通訳で似ているところは、まず高度な語学力が必要なところ。「確かに英語は勉強しているから、知識はある…だけど、しゃべれるかどうかは全く別の話」 ― そう、聞いてわかるのと同じレベルで話せるかと言ったら、そうじゃないのは、中学高校大学と10年も勉強してきたのに英語が話せない人が圧倒的に多いことからも明らかですね。

それでも、聞く分にはある程度はわかるという人も多いはず。ところが、それと同じくらい話せるかというと、そうではない。受け身の力だからです。

「英語がしゃべれない翻訳者は実はたくさんいる」というのも本当に翻訳者同士では珍しくもなんともない話で、通訳者だってこのことは知っています。

それから「辞書なんていらないでしょ?」と思われるのは通訳者も同じで、いきなり「○○って何(ていうの)?」と出し抜けに辞書代わりとばかりに質問されることも少なくありません。

コンテクスト(周辺情報)なしでは特定できないのは翻訳も通訳も同じですよね。

photo : slideshare.net

(つづく)

2016年5月15日日曜日

エージェントは競争相手か?



つまり、直接のクライアントを持つ翻訳者にとって、エージェントは競争相手か?
さらには、エージェントにとって、直接のクライアントを持つ翻訳者は競争相手か? 
という問いに対して。

フリーランスで仕事をしていますが、クライアントが直接のお客様の時もあれば、エージェントの時もあります。

結論から言うと、直接のお客様がいるからといって、エージェントのことをライバル、競争相手だとは思いませんし、エージェントから見ても、直接の顧客を持つフリーランスが競合であるべきだとも思いません。

選択肢が増えるということは市場にとって好ましいことですし、業界にとってもポジティブなことだと思います。

実を言うと、何年か前、直接の顧客を持ったり、ウェブサイトを持ったりしてそのことを告知することは、エージェントを敵に回すことになるのではないか、そんな心配をしたこともありました。

今はそのようなものではないのではないか、構図である必要はないし、そうではないんだな、と思うに至りました。

それは、案件によって、個人に適したプロジェクトと、エージェントに適したプロジェクトがある、と思うからです。

フリーランスになってしばらくは、エージェントからのお仕事がほとんどでした。

非常に大きなボリュームのものを大勢で手分けするというプロジェクトにも関わらせていただき、そのおかげで、大変勉強になりました。


そういった経験は、個人で終始対応するタイプの仕事では、まず得られません。

このように、エージェント経由のプロジェクトから翻訳者が得られるものは大きいものです。

では、個人、つまりフリーランスの依頼に適したプロジェクトには、どんなものがあるか。

まず、英語から日本語など、対象言語が単一で、量も小~中規模の場合は個人のほうが「取り回し」が小さくて済む分、コミュニケーションが単純化される。時間も労力もセーブできるので効率的だと言えると思います。

一方、エージェントへの依頼が適したプロジェクトは、個人ですべてまかなうことが不可能なもの、あるいはそれに向いていないものだと思います。

例えば、多言語化プロジェクトで、ボリュームが相当にある場合、言語をまたいだ統一感や統一性が求められます。

表記や表現などが統一されているかどうかは、翻訳のクオリティの良し悪しを左右する基本的な部分ですから。

専任のプロジェクトマネージャーがスタイルガイドをまとめたり、チェック作業を行う。それらを含めた一連のプロセスを一か所でまとめられるエージェントを利用するのが効果的だと思うのです。

また、ボリュームの大きな案件はどうか。個人で対応しきれるか。

これは納期に余裕があるのであれば、ひとりでも対応が可能だと思いますが、納期が悠々としている案件は少ない。つまり、量に対して納期がタイトなのであれば、手分けする必要が出てくるでしょう。

その場合、訳語や表現の統一など、品質管理が単独の翻訳者の場合に比べて、複雑になるので、その点に関しては注意が必要だと思いますが…。

では、納期は短く、量は多いので「それでは即エージェントに依頼!」かというと、残念ながら話はそれほど単純ではありません。

エージェントでも、対象言語に対応できるプロジェクトマネージャーを抱えていないところでは、たとえ多言語に対応しているエージェントであっても、日本語に対応できるプロジェクトマネージャーがいるとは限りません。

それなら、日本語を目標言語(アウトプットされる言語)にしている翻訳者でチームを組み、そのチームのなかでコーディネーターを決め、プロジェクトマネージメント、品質管理を行う方が賢明ではないか、と個人的には思います。

反対に、直接のクライアントの仕事であれば、中継点が少ないため、コミュニケーションの時間短縮が長所のひとつ。

その一方で、情報のやり取り、ファイルのやり取りやデータの保管など、その点におけるクライアントの不安材料を取り除く努力、エージェントが担っている責任を、直接自分が担うという認識を備えるなど、意識的な努力が必要になることも。

結局、直接のクライアントを持つ翻訳者にとって「エージェントは競争相手か?」

そして、エージェントにとって「直接のクライアントを持つ翻訳者は競争相手か?」

と考えてみましたが、私はエージェントとの関係は「競争相手」ではなく「パートナーシップ」だと思います。

2016年4月27日水曜日

同時通訳で使うヘッドホン(イヤホン)について 続編

ご無沙汰しています。

今年のはじめに同通で使うイヤホンについて、ヘッドホンを使っているがカナル型のイヤホンを購入したという話をしました(こちら)。

続編として今回は後日談をご紹介したいと思います。

慣れるのに時間がかかりそうでしたので、カナル型のイヤホンが自分にとって使いやすいかどうか検証すべく、しばらく使ってみたのですが、結果、どうなったかというと、カナル型(Sennheiser )はほとんど使っていません(苦笑)。

前述したオーバーヘッド型をまだ使っています。

ですが、オーバーヘッド型でも実は種類が若干増えまして、今は JVC と MONOPRICE の二種類を案件(環境)に合わせて使い分けています。







でも「もっとも手軽で使いやすいのは?」というと、ダークホース登場(下の写真)。


おそらくご存知だとおもいますが、Appleの新しいほうの標準イヤホン — EarPods 。じつは、これが使いやすさにおいては全然悪くない。

例のカナル型のイヤホン、値段がしただけあって音質などは申し分ないのですが、やっぱり耳に引っかけづらいんですよね。

ワイヤーが耳から下に垂れるのではなく、耳の上から耳の裏側に沿って下げてくるタイプなので、付け外しが素早くできない…。

「同通で使う」というのは、移動中に音楽を聴くのとは違い、繰り返し付け外ししますから、その動作の容易さも重要になります。

長時間あるいは連日にわたり聴覚を集中的に使用するので、負担がかからず、疲れにくいものであるかも大切なポイント。

重低音とかダイナミックレンジとか、はたまた移動中の密閉性(音漏れの迷惑問題)などはあまり関係がありません。

交通機関など公共の場ではなく、同時通訳は隔離されたブースで行われますし、美しい音質よりも聞き取りやすい音質(つまり雑音がなくクリアな話者の声)を求めるからです。

用途が違うという意味では、マイクに特長の違う種類があるのと似ています。

音ならなんでもかんでも拾おうとする収音角度が広いマイクと、収音角度が狭く歌声などを拾うのに適したマイクなど、いくつかのタイプがありますよね。

音楽を楽しむために使うわけではないので、むしろ通訳をする対象スピーカーの声だけを拾ってくれるイヤホンがあったら理想的と思えるくらいです。

つまり、話し声だけ拾い上げてくれるもの(そんなものがあればですが)、さらにノイズを遮断してくれるとか、疲れにくい形状をしているとか。

しなやかで壊れにくい、軽くて持ち運びやすい、意外なところでは「掃除しやすい」といったこともポイントになるとおもいます。

Appleの新しいタイプ、はっきり言ってAppleの古いタイプ(EarBuds)がスカスカで、仕事でつかえる代物ではなかったので期待していませんでした。

ところが、この新タイプのAppleの標準イヤホンは装着感がよく、それでいて外しやすい。

なので、片耳だけにしたいときも便利 — 同通の仕事中、自分の番でないときは、私は片耳だけにしてスピーカーとブースパートナーの両方を聴いていることが多いので。

さらに、こちらは軽いので持ち運びに便利で、コンパクトなのでかさばらない。
万が一、失くしたり壊したりしても、高くないので気が楽です。

それにしてもAppleのEarPodsとは。まったく期待していなかったので、自分でもかなり意外でした。
ひとつ難点を挙げるとすれば、iPhoneならiPhoneなどデバイス間で共有して使う分には問題がないのかもわかりませんが、録音に使うような機材・機器につないで使ったあと、iPhoneなどで使おうと思うと、接触が悪くなるようで片耳しか音が聞こえなくなってしまったりします。


また、音が二か所から出るので、ボイスオーバーで、元の音を聴きながら録音するときは便利です。

耳の中に深く挿し込まずに、ささやかに音を聞きながら、つまり片耳に当てるようにしながらかざすように持つ。二か所から音が出るので、そのうちの一つ(平らなほう)を塞ぐとちょうどいい効果が得られます。

一つ難点があるとしたら、iPhoneやiPadといったアップル製品以外に使うと、iPhoneにつなぎなおした時に接触が不安定になることがあること。

ステレオを音楽を聴くだけでなくTVにつないだりすると不安定になるトラブルと似ています。

それでも、いくつかのブース用同通コンソールで使用してみましたが、接触不良はありませんでした。私個人の経験ですが、あくまでiPhoneに戻した時に起こる問題のようです。

ちなみに、耳から少し離れていると、高感度の録音用マイクがイヤホンからの音を拾ってしまうことがあるので、そこは注意が必要です。

調べによると、Appleでは骨伝導技術を使ったワイヤレスのヘッドホンを開発中だとか。Bluetooth対応らしいですね。

ノイズキャンセリングにもこだわったものとのことで、発売が期待されますが、ワイヤレスでは同通のコンソールでは使えなさそうですね…。Wiredバージョンもあったらいいかも。

というわけで、個人的に、これまでに挙げた三つの中では、やはりオーバーヘッドタイプが耳の負担が一番少なく疲れにくい気がします。

ただ、長時間だと頭が痛くなるし、持ち運びではかさばるので、会場の中などサッと荷物をまとめて移動したい時にはイヤホンのほうが身軽で良い。

書類、カバン、ヘッドホン、メガネに水(ペットボトル)を一緒に抱えようとして、雪崩のように床の上に崩れる…ということにもなりかねませんから。

3人体制のときなど、素早く席を換わる必要があるときにも、身軽なイヤホンのほうがスマートかもしれません。



2016年3月4日金曜日

ロンドン 春の通訳ワークショップ

すっかりご無沙汰してしまいました。

今年に入ってから「春の通訳ワークショップ」の調整や運営でてんてこ舞いで、ブログの更新まで手が回りませんでした。その状況は変わっていないのですが(苦笑)せっかくなので、このイベントをこのブログでも紹介しますね。

来月、4月16日(土)ロンドン中心部、ロンドンメトロポリタン大学にて、Jネット主催「春の通訳ワークショップ」が開催されます。

現在、運営委員会(ブロートン文さん、坂井裕美さん)、スピーカーの皆さん(アンドリュー右田ミーハンさん、ティーラ(岩津)桂子さん)といっしょに有意義な会にしようと奮闘中です!!

Jネットの母体であるITI(英国翻訳通訳協会)、JAT、ATAの日本語Divisionの各団体から、協力いただいています。AIIC(国際会議通訳者協会)のなかで駆け出しの会議通訳者をサポートするAIIC-Vegaについての紹介も当日の内容に含まれています。

実戦で役に立つ現役通訳者のためのイベントになっており、全日のプログラムは4本のセッションから構成され、盛りだくさんの内容となっています。これだけの講師陣、そして欧州の日本語通訳仲間が一堂に集まる機会は滅多にありません。対象言語ペアは英⇔日に限りません。仏⇔日、独⇔日、西⇔日など、日本語さえ含まれていればどのような言語ペアの通訳者にも役に立つ講演ばかりです。

充実したワークショップの後には、お楽しみの懇親会も予定しています。講師陣とテーブルを囲んで直接コミュニケーションを図ったり、日頃一人で仕事をすることが多い通訳者にとって、通訳仲間と交友を深めたり、新しい仲間と出会える貴重な機会です。

あ、

申し遅れましたが、私も当日は登壇させていただきます!

詳しい情報は、以下の特設ウェブページでをご覧ください。


イベント概要は以下のような感じになっています。

【ワークショップ詳細】

日時:4月16日(土) 午前10時〜午後4時
会場:ロンドンメトロポリタン大学 Moorgate キャンパス
最寄駅:地下鉄 Moorgate
住所:Electra House 84 Moorgate London, EC2M 6SQ
アクセス・地図:http://www.londonmet.ac.uk/contact-us/how-to-find-us/moorgate/
講師:アンドリュー右田ミーハン、岩津Thiele桂子、平松里英
参加費:Jネット会員 30ポンド 、Jネット非会員 40ポンド
早期割引 上記から5ポンド割り引き(3月31日まで)
懇親会:会場近辺  18時〜 (食事代は参加費用には含まれていません)
イベントの後には、会場近くのパブで気軽に一杯飲んでからお楽しみの懇親会を予定しています!!

是非、お誘いあわせの上、ご参加ください! 

お問い合わせは私、平松里英 hiramatsu@rie.london まで。

2016年1月15日金曜日

私のスポーツ通訳の経験と言えば その①



ラグビーワールドカップ2015も終わり、4年後は日本大会ですね!

ニュージーランドの優勝、オーストラリア準優勝、3位は南アフリカでした。

今大会は日本チームが初戦の対南アフリカ戦から奇跡的な活躍をして、非常に見ごたえがありました。

感動の大躍進を果たした日本代表。その勇姿を見られたことは、自分自身に喝を入れ、奮い立たせるきっかけになり、大きな刺激になりました。

また、近年、国際社会における日本の存在感が急激に薄れていくのを、個人的にも目の当たりにしてきただけに、外交下手で気弱な日本の面目躍如!と、本当に気持ちよかったです。

さて、そんなことを言っている私ですが、じつはラグビーのルールがわかりません…。

一生懸命画面に食い入るようにして見ることは見るのですが、雰囲気にのまれて、それなりに盛り上がるのですが、じつはよくわかっていない…。

ラグビーワールドカップ、今回はイギリスでの開催ということで現地で通訳をしている同僚・先輩たちもかかわった人が数名いて、かなりエキサイティングな体験談も耳にしています。

私も直接2015年の大会にかかわったわけではないものの、2019年に向けたラグビー関連の案件は依頼を受け、幾分、親近感がわいています。

ラグビーをはじめとするスポーツにおける通訳経験と言えば、わたしはそもそも初めての通訳経験がスポーツだったのを思い出しました。

初めての通訳のお仕事は、99年のバレーボール・ワールドカップ、名古屋で行われた女子大会でした。来日していた大会役員・委員のうち、医療を担当していた役員のアテンド通訳を担当しました。

アテンド「通訳」と言ってはみましたが、それまで通訳という仕事は自分の視界に入っておらず、当然経験もなければ、訓練も受けていませんでした。

そもそも引き受けるつもりはなかったのですが「海外から代表団がやってくる、団体なので人手が足りない、経験がなくてもいいから手伝って!」という友人からの頼みだったんです。

「ちゃんとした通訳が必要な会長とか副会長は、経験豊富な通訳さんに頼むから大丈夫!だからお願い」と泣きつかれ、複雑な心境で現場に向かったのを覚えています。

ここでの経験があったからこそ今の私があるんだなぁ、と思います。
自分で言うのもなんですが、いろんな意味で面白い経験だったな、と。

現場での通訳体験もさることながら、いろんな意味で面白い経験だったとおもった事柄の一つとして、まず、当時デビューしたてだったジャニーズのグループ「嵐」のお話しをしようと思います。

1999年のバレーボールワールドカップ。人気グループ「嵐」がデビューしました。

彼らの華々しいデビューの裏側で、冷や汗をかきながら私は通訳デビューしました。

デビューはデビューでも随分差がありますねw…。

この「嵐」のデビュー、日本チームの試合があると毎回出入り口から嵐の面々が派手に登場するんです。V6坂本くんがコートの向こう側で司会みたいな、応援団長みたいなことをしてましたね。

今でこそ「嵐」のメンバーの皆さんも立派な成人男性、何本もレギュラー番組を持つ人気グループですけれど、当時はまだまだ…。なんていうか華奢で、なんていうか、こう言うのも何ですが、かっこいいというより、かわいらしい。男子というよりむしろ女の子かしら、という感じでしたよ(ごめんなさい)。

デビュー当時の年齢を調べたら16~19歳だったようなので、そんなはずはないのですが、スラリとしてて、もう、とにかく、男子高校生あたりのむさくるしさからはほど遠い、もしかしてまだヒゲだって生えてないんじゃないか、というような印象でした。

ほぼ毎日「あらしぃ、あらしぃ♪」でした。今でもあの歌は覚えてます。

各国チームの選手も同じだったのか、その歌を口ずさんでいる選手もいました。とくに、ブラジルの人気選手レイラ・バロスなんかは、しょっちゅう鼻歌みたいに歌ってましたね。当時、レイラはとっても人気がありましたよね。

通路を通るときに歌ってるんで聞こえてくるんです。

それにしても、バレーボール選手って背が高いw

レイラはすごく身長があるわけじゃなかった気がするけど、ロシアのチームが高かったなぁ、ずらっと並んで歩いてくると、まるで柱が何本も横に並んでこっちに迫ってくるみたいで、すごい迫力でした。

(次回に続く)