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2016年6月19日日曜日

日本の食文化紹介 和菓子 その3 対訳例について


前回の記事で掲載させていただいた対訳リスト(下方にもあります)ですが、

すでにお気づきの方もいらっしゃることとおもいますが、

そうです。 「日本語(原語)が短いのに、対訳の英語がうんと長い」 のです。

それは主に、対訳の英語が「お茶請け」など語の説明になっているからですが、それは、たとえ日本ではおなじみのコンセプトでも、外国ではまったく馴染みがないからです。

同様に、イギリスではおなじみでも、日本ではまったく馴染みのないことはたくさんあります。
(はっきり言って、そんなもの「だらけ」だと思います。)

だから、訳出が説明を伴っていないと、聞いている人は何のことだか理解できないのですね。

「足さない、引かない」というフレーズをご存知でしょうか。

原文や原発言に対して、訳すときに足すことも(Addition)、引くことも(Omission)、曲げること(Distortion)もしないこと。翻訳でも通訳でも、重要な指針です。

米原万理氏の著書『不実な美女か、貞淑な醜女か』というタイトルにもあるように、アウトプットがoriginalに忠実かどうか云々は永遠のテーマですね。

なぜこの話を出したかというと、これは足したことにはならないと思うからです。

表面的に言葉を置き換えても「通じない」。

そして、通じなければ意味がないわけですから。

(詳しくはセレスコビッチ(Seleskovitch)の「意味の理論(the Theory of Sense a.k.a. the Interpretive Theory of Translation)」を参照)


お茶請けOchauke - snack to go with tea like teacakes
上生菓子 high-grade Japanese fresh/wet confections
主菓子 Omogashi - main sweets (wet sweets)
打ち物 Uchimono - malded dry confectionery
自然薯wild yam
和三盆 Wasanbon sugar - Japanese traditional refined sugar that is very sought   after
生砂糖(きざと)raw sugar
おうす(a) weak infusion of powdered tea
落雁 dry confection of startch, soy etc. pressed into a pattern
求肥 sweetened mochi
栗きんとん mashed sweet potatoes with sweetened chestnuts
おしるこ sweet soup like food made with Azuki beans
最中の皮 delicate and crispy sweet rice crackers
丹念に carefully / with great care
刻む carve / chisel / mince / finely chop
練る knead / temper
漉す purée /mash and filter out impurities
煮詰める simmer away / reduce / concentrate
見て楽しむ enjoy viewing / watching
詫び寂び aesthetic sense in Japanese art emphasising quiet simplicity, called WabiSabi
研鑽を積む devote oneself to their [study] for many years

などなど…。


それから、上の表ですが、スラッシュで区切ったものは「このうちどれでもいい」ということではなく「context  (文脈)に合わせて随時選択」するというつもりで訳語を出してあります。

各単語(英語)の意味やニュアンスが異なるので。

「突貫工事の対訳」では当然納得がいかず、後日「練り直した」ものもあります。
※上に載せたものは練り直したものではありません。

例えば「求肥(ぎゅうひ)」がそれですが、「sweetened mochi かぁ、甘くした餅」じゃあピンとこないなぁ、と。

うんうん言っていると、ひらめきました!ちょうどイギリスには似ているものがあることに気づいたのです。Turkish Delight というお菓子です(トップの写真)


求肥(Gyuhi) の Wikipedia (https://en.wikipedia.org/wiki/Gy%C5%ABhi) の説明(英文)も参考にして…

"Gyuhi - a softer variety of mochi, which is made from either glutinous rice or its flour, similar to Turkish Delight"   

…と、ここまで言う時間的余裕があればいいですが。

逐次ならともかく、同時通訳なら無理だろうなぁ。

もし、自分がここで同時通訳だったら、瞬時にどう対応するか。

悩みは尽きません。

というわけで、今回はこの辺で。

お読みいただきありがとうございました。

2016年6月13日月曜日

日本の食文化紹介 和菓子 その2 お約束の対訳例をUPしました。


前回の「日本の食文化紹介 和菓子」で、友人宅へ行く途中、電車で移動中、
日本文化を紹介する依頼が急に入ったというお話をしました。

友人宅へ遊びに行って翌朝ゆっくり好きな時間に帰ってくるはずが、翌朝仕事になってしまい、往復の電車の中で「iPhone とにらめっこしながら一夜漬けならぬ付け焼き刃もいいとこ、突貫工事で捻り出した」のですが、そのときの「突貫工事の対訳例」がこちら↓

お茶請け Ochauke - snack to go with tea like teacakes
上生菓子  high-grade Japanese fresh/wet confections
主菓子  Omogashi - main sweets (wet sweets)
打ち物  Uchimono - malded dry confectionery
自然薯 wild yam
和三盆  Wasanbon sugar - Japanese traditional refined sugar that is very sought after
生砂糖(きざと) raw sugar
おうす (a) weak infusion of powdered tea
落雁  dry confection of startch, soy etc. pressed into a pattern
求肥  sweetened mochi
栗きんとん  mashed sweet potatoes with sweetened chestnuts
おしるこ  sweet soup like food made with Azuki beans
最中の皮  delicate and crispy sweet rice crackers
丹念に  carefully / with great care
刻む  carve / chisel / mince / finely chop
練る  knead / temper
漉す  purée /mash and filter out impurities
煮詰める  simmer away / reduce / concentrate
見て楽しむ  enjoy viewing / watching
詫び寂び  aesthetic sense in Japanese art emphasising quiet simplicity, called WabiSabi
研鑽を積む  devote oneself to their [study] for many years

などなど…。


すでにお気づきの方もいらっしゃることでしょう。

「日本語(原語)が短いのに、対訳の英語がうんと長い。」



そうなのです。

でも、こういうことはよくあります。

逆もまたしかりです。


その理由はまた次回に。


(Photo: http://morichan37.com/?page_id=2523)

2016年6月5日日曜日

日本の食文化紹介 和菓子



きれいですよね。和菓子って、素敵だなとおもいます。

昨年の秋、ラグビーワールドカップイングランド大会と時を同じくして日本を紹介するシリーズイベントがありました。

その中の食文化を紹介する小イベントで和菓子の紹介を通訳する機会を得ました。

通訳仲間から連絡が入ったのです。
それは泊まりの外出先へ移動中の電車の中でした。

それで、その仲間に「いつ?」と聞けば「明日の朝」とのこと…。会場が自宅から目と鼻の先ほどの近場だったこともあって声を掛けてくれたのでしょうか。

あいにく、その日に限って泊まりで遠出中だったのです。

しかし「直前だからなんとかお願い!」と頼まれ、翌朝には帰ってくる予定であったので、断るわけにはいきません。

翌朝ゆっくり帰るつもりを急いで切り上げることにして、エイヤッと引き受けました。

が、コンピュータもなければ、ケータイの通信すらおぼつかず、何より出先ですからWiFiが使えません。

しかもお出かけ中だったんだから資料らしきものなんかひとつもない…。イギリス国内とは言えど、海辺に近い(つまり文明品がない)のどかな場所だったので。

話題は和菓子。職人さんが実演をしながら説明するのを通訳するのです。

和菓子といえば、なじみはありましたが、もっぱら食べることが中心。作ったり説明なんて想定したことがない。

その歴史や精神、詳しい作り方や材料については詳しいとは嘘にも言えず、この時ばかりは茶道の心得でもあれば、きっと助けになっただろうにと悔やまれました。

でもなんとか乗り切らなければなりません。観客を前に実演で和菓子を通訳するとなると、英語でなんと表現したら良いものやら…。

私はじつはお菓子を作るのが好きな方なのですが、それもケーキやらパイやらと洋菓子で、和菓子の道具や材料、作る時の手順や動作について詳しくないんです。

でも、その「心」を伝えねば。

ネットは繋がらないし、翌朝本番だし、でもなんとか出来る限りの準備をということで、頼れるものはiPhoneだけ。しかも時間は電車が到着するまで。途中何度もネットが途切れつつ…。

調べ物をして、準備をする機器としては小さい。このiPhoneの画面とにらめっこしている私の様子は周りの人にはきっと鬼気迫るものがあったでしょう…鬼のような形相だったに違いありません(苦笑)

お茶請け
上生菓子
主菓子
打ち物
自然薯
和三盆
生砂糖(きざと)
おうす
落雁
求肥
栗きんとん
おしるこ
最中の皮
丹念に
刻む
練る
漉す
煮詰める
見て楽しむ
詫び寂び
研鑽を積む

などなど…

どうでしょう、これらの言葉サラッと英語になりますか?

いやぁ私はサラッと納得のいく表現は出てきませんでしたね。

それでもわかりやすく、素早く伝わる表現を考えて、頭に入れなければならない。

私がiPhoneにらめっこしながら一夜漬けならぬ付け焼き刃もいいとこ、突貫工事で捻り出した対訳例。

次回はそれをご紹介しますね。